予防診療
猫のノミ・ダニ予防
寄生虫は人に付着して室内に侵入する可能性もあるので、 室内飼育の猫でも油断はできません。
【 ノミの生態 】
ノミは昆虫の仲間で、猫や人に寄生する種類は主にネコノミです。大きさは約1.5〜3mmですが、高さ30cm程度まで飛び跳ね動物の体に寄生して吸血する特徴があります。
暗くて湿ったところを好み、屋外では住宅街の庭や花壇に潜んでいます。人の靴や服、猫について室内に侵入し、ベッドやソファなどで増えていきます。気温や室温が13℃以上になると繁殖しはじめ、約20〜30℃で繁殖サイクルが活発になり大量発生しやすくなります。
夏場など条件によっては、卵から孵化して卵を生むまでに最短で2週間前後のサイクルを繰り返し、爆発的に繁殖していきます。
【 ノミが原因となる病気 】
ノミに寄生されると、かゆみや皮膚炎を引き起こす可能性があります。
強いかゆみをともなうノミアレルギー性皮膚炎、好酸球性皮膚炎
瓜実条虫症(サナダムシ):グルーミングの際などに、瓜実条虫(サナダムシ)の幼虫が寄生しているノミを口にしてしまうことで体内に取り込んでしまいます。小腸で瓜実条虫が増えて下痢や嘔吐などを起こします。
猫ひっかき病:人がノミによるバルトネラ菌に感染した猫に引っかかれたり噛まれたりすると、発熱やリンパ節炎を起こします。
【 もしかしたらノミが寄生してるかも… 】
・足で顔や体を掻いている ・地面に体をこすりつけている ・肌が点々と赤くなっている・毛に黒いフケ状の塊(ノミの糞)がある
・ジュクジュクした皮膚の炎症がある ・毛が薄くなったり脱毛したりしている部分がある
【 ダニの生態 】
ダニはクモの仲間で、特に危険なのは人の死亡例が増えているSFTS(重症熱性血小板減少症候群)の病原体を媒介するマダニです。
ダニというと、室内に潜んでいるものというイメージがありますが、猫に寄生して血を吸うのはマダニは草むらや茂みに潜む大きなダニです。犬、猫、人など哺乳類の皮膚に、黒いイボのように寄生しアゴでがっちりと噛み付いてぶら下がり、自分の体の 100 倍の大きさになるまで血を吸います。
マダニが活発に活動するのは、春~秋といわれていますが、近年は温暖化の影響で1年中活動しているマダニも少なくないと考えられています。寄生されてもかゆみがないため、気づきにくいのが難点です。すでに寄生されている動物と接触して感染する場合が多く、被毛の少ない部分に寄生します。
【 ダニが原因となる病気 】
痛みやかゆみ、皮膚炎や感染症を起こします。
モプラズマ感染症:マダニに吸血された際にモプラズマが体内に入ってしまい、貧血や発熱を起こす感染症です。
SFTSウイルス(重症熱性血小板減少症候群):人間にもうつる可能性があり、感染すると発熱、下痢や嘔吐、皮下出血などの症状が起きます。ライム病:ボレリア菌によって発熱や皮膚疾患が起きます。
【 予防 】
・定期的な予防薬の投与:3月中旬~4月上旬頃からスタートし、12月ごろまで続けることを推奨しています。
・清潔な環境づくり:寄生虫は繁殖力が強く、室内に侵入されると完全に駆除するには時間がかかります。室内掃除のほか、こまめな換気や布類の洗濯を心がけ、生活環境を清潔に保ち繁殖しにくい環境をつくる
・定期的なブラッシングやシャンプーで体をかゆがる場所や脱毛部分、ノミの糞がないかなど日常的に確認する。
【 もし寄生してしまったら… 】
駆除薬を処方いたしますので、当院へお越しください。
全身に駆除の成分が広がり、ついている寄生虫の成虫を数時間から数日でほぼ駆除する作用があります。
速やかに処方することでノミが卵を産む前に駆除することができ、駆除効果は約1ヶ月間持続します。
ノミの成虫を見つけたとき、ぜったいにしてはいけないのが「ノミをつぶしてしまう」ことです。つぶしたことで卵が飛び散ってしまう危険性があります。これ以上ノミを繁殖させないためにも、ノミをつかまえたら、つぶさずに中性洗剤(食器用洗剤)を入れた水に沈めましょう。その後は室内を徹底的に掃除し、スプレータイプのノミ駆除薬など対策してください。
また猫がマダニに噛まれていた場合も、マダニは皮膚の奥にまで頭を突っ込んで噛みついているので、簡単には取れません。無理やり引っ張ってしまうと、マダニの胴体だけがちぎれて、頭部はそのまま犬の体内に残ってしまいます。
また、マダニは体内にさまざまな細菌やウイルスを持っているため、感染症を引き起こします。
SFTSウイルス(重症熱性血小板減少症候群)は、人間にもうつる可能性があるので、ご自身で無理に取り除こうとすることは危険です。
ノミ・マダニが寄生してしまったら、必ず来院してください。
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